主語における助詞の「が」と「は」の使い分けは、学ぶ側の学習者も教える側の教師も必ず苦戦するところですよね。
一般的に広まっている両者の使い分けの説明としては
- 新情報と既出情報 (新情報=「が」/ 既出情報=「は」)
- 特定・排他と対比 (特定・排他=「が」 / 対比=「は」)
- 客観的描写と主観的描写 (客観的描写=「が」 / 主観的描写「は」)
といったものが挙げられますが、どれも説明が複雑化しがちな上、結局は「会話の中では複数の要因が絡まって必ずしもこうなるわけではない」とか歯切れの悪いことを言ってしまう日本人が多いのではないでしょうか?
この記事ではよりシンプルにあらゆる場面で応用が利く、主語における助詞「が」と「は」の使い方をご紹介します。
助詞前後の情報の重要度による使い分け
この考え方は至ってシンプルで、文脈(シチュエーション)に合わせて助詞の前と後ろの情報の重要度をチェックするするだけです。
こんな感じで↓

自己紹介や誰かにとって新しいものや情報を紹介する時に主語に「は」を使うのは、B(述語)の方が重要度が高いからです。
(例1)ここのガソリンは高いです。(シチュエーション:ガソリンの値段比較)
(例2)私はサクラ大学のたけしです。(シチュエーション:自己紹介)
(例1)ではガソリンの値段について話しているシチュエーションなので、より大事なのは「高い」という情報です。故に主語に使われる助詞は「は」です。(例2)ではシチュエーションが自己紹介であるため、重要度の高い情報は「私」ではなく「サクラ大学のたけし」という名前の部分になり、「は」を使うのが正しいということになります。
次に(例2)とほぼ一緒の文で助詞だけ変更した(例3)を用意しました。
(例3)私がサクラ大学のたけしです。(シチュエーション:自分が本物のサクラ大学のたけしであることを主張)

同じ空間に自分のクローンがいるみたいなぶっ飛んだシチュエーションですが、この場合より重要なのは「サクラ大学のたけし」という名前ではなく、それが「私」であるということです。したがって(例3)では「私」がより重要な情報ということになり主語の助詞は「が」になります。
ダチョウ倶楽部の鉄板ネタの「俺がやるよ。」「じゃあ、俺がやるよ。」「どうぞ。どうぞ。」も同様に「やる」という術語部分ではなく「誰が」やるかという主語の部分が重要であるため「が」使われているわけですね。
ラッパーの輪入道さんは逆に「俺はやる」というタイトルの楽曲を出されていますが、こちらは「やる(自分の信念を貫いて成し遂げる)」という述語の部分が重要度の高い情報であるため主語に「は」を用いています。
いかがでしたでしょうか?この説明だと「排他的」だの「客観的/主観的」だの小難しい言葉を使わずにかなりシンプルに「が」と「は」の使い分けをできると思います。
ポイントは文脈(シチュエーション)をしっかり理解することです。ここさえハッキリしていれば主語に関しては「が」と「は」を間違えることはなくなるはずです。
安井朱美・井手友里子・土居美有紀・浜田英紀(2018)『4技能でひろがる 中級日本語カルテットⅠ』The Japan Times.

