みなさん、突然ですがWortというドイツ語の単語をご存じでしょうか?
Wortとは「言葉」や「単語」を表しており、英語のwordに相当します。ただ、このWortという単語の変わった特徴として挙げられるのが、複数形が2つあるという点です。
Wortの複数形には、WorteとWörterの2つがあり、そのニュアンスも異なります。
ドイツ語を勉強すると、割と最初の方に触れる単語であるにも関わらず、私自身その違いをちゃんと理解することなくドイツで数年過ごしていました。オハズカシイ・・・。
この記事では、そんなWortの2つの複数形の違いをいくつかの例文を交えながら解説していきたいと思います。
Worteはいわゆる「言葉」
もう見出しが全てを表していますがWortの一つ目の複数形Worteは、日本語でいうところの「言葉」です。
具体的には、以下のような文脈で使われる「言葉」です:
a.) Deine Worte haben mir Mut gemacht.
君の言葉に勇気づけられた。
b.) Mir fehlen die Worte, um meine Gefühle zu beschreiben.
自分の気持ちを表す言葉が見つからない。(なんつっていーか分からん的な)
Worteとは、つまりそれ自体が何らかの意味を持った、または気持ちが込められた「言葉」というニュアンスです。
で、なんで複数形なのかというと、「言葉」って大体1単語じゃなくて複数の単語から構成される文や節(フレーズ)だからです。
例えば、こんな言葉に勇気づけられたとしましょう↓
c.) Ich weiß, dass du schaffst!
お前ならやれるさ!
これも「ich」「weiß」「dass」「du」「schaffst」の5つの単語から構成された文ですよね。なのでWortではなく、Worteになるわけです。
主格(Nominativ) | die Worte |
属格(Genitiv) | der Worte |
与格(Dativ) | den Worten |
対格(Akkusativ) | die Worte |
与格(Dativ)のときは、語尾にnがついてWortenという風になるのでお忘れなく。
例えば、与格支配である前置詞mitを使ったフレーズ「mit eigenen Worten (自分の言葉で)」はnで終わります。
Wörterはいわゆる「単語/語彙」
Wortのもう一つの複数形であるWörterは、日本語の「単語/語彙」に相当します。
実際の例文を見てみましょう:
d.) Die Materarbeit soll einen Umfang von 18,000 – 20,000 Wörtern haben.
修士論文の長さは、18,000から20,000語である必要があります。
e.) Mir fehlen die Wörter, um meine Gefühle zu beschreiben…
自分の気持ちを表す語彙が足らない・・・。
e.の例文は、先ほどのWorteの例文b.とそっくりですが、こちらのe.の方は言いたいことは分かっているけど、語彙が足らないから表現できないというニュアンスになります。外国人の人が、語彙不足で自分の感情を表現できないときに使えます。私とか。
主格(Nominativ) | die Wörter |
属格(Genitiv) | der Wörter |
与格(Dativ) | den Wörtern |
対格(Akkusativ) | die Wörter |
こちらも与格(Dativ)では、語尾にnがついてWörternになりますのでご注意ください。
WorteとWörterの違いをまとめるとこんな感じです↓
Worte
気持ちや想いが込められた「言葉」
Wörter
特に感情などは含まれていない「単語/語彙」
私の場合は、自分が通っていた語学学校でWorteの説明はあまり聞いたことがなかったので、結構長い間どの状況でもWörterを使ってました・・・。まぁ外国人なんで、その辺はドイツ語ネイティブの人も割かし察してくれたのか、ツッコまれたことはありませんでしたが。
違いを知っておけば、使い分けは比較的簡単な複数形です。与格(Dativ)の時は、語尾にnが付くというだけ忘れないようにしておきましょう。
最後まで読んで頂きありがとうございます。