どーもヤマジです。
それなりに長い期間ドイツ生活をしていて、何度か頭をよぎりつつも、私が長らくしてこなかったもの。そう、免許の書き換え。
ドイツの公共交通機関に甘んじて、避けていたら、ドイツに来てからもう10年以上が経っていたという有様。
いざ、ネットで情報収集してみると、ドイツ大使館のホームページには「半年以内すべし」的なの書いてあって戦々恐々。
ただ、調べてみると私のような長期滞在者の方でも書き換えられている事例もいくつかあるようなので、意を決してやることに。
まぁドイツは結局のところ、良くも悪くも役所の担当の人の気分で如何様にも転ぶことがあるので、私は役所に足を運ぶ際には性善説を信じることにしてる。
ということで、本記事ではドイツ滞在11年目の人間が免許書き換えをした話とその際に必要になった書類について、つらつらと書いていきます。
ちなみに私の状況は:
- 日本で2008年に免許取得(マニュアル)
- ドイツには2012年から居住
- 一時帰国した際にゴールド免許に更新し、免許証が変わった
- 2023年4月に日→独へ免許書き換えを試みた
といった具合です。
結果としては・・・できた・・・が
記事タイトルがもうネタバレになっちゃってますが、結果としては、10年以上でも免許の書き換えはできました。
しかし、申請時の担当者はピクリとも笑わない+結論を言わないタイプで、書き換えができないっぽい風に説明し続けていたので、ヒヤッとしました。皆さんも同様のことが起きたらハッキリと「つまりできるんですか?」と聞きましょう・・・マジで10分くらい時間のムダだった・・・。
必要書類:長期滞在者で特に重要なのは「運転経歴証明書」
私が実際にFahrerlaubnisbehördeから送られてきたメールで要求された書類は以下の通り:
- パスポート
- 滞在許可証
- 住民票(Meldebescheinigung)
- 顔写真(35 x 45 mm)
- 日本の運転免許証とそのコピー
- 日本の運転免許証の翻訳(これは日本領事館でやってもらうのが一番楽です)
- 手数料36.30€
以上が役所が最初に要求してきた書類ですが、これだけ持っていっても少し面倒なことになります。
というのも、私のような長期滞在者の場合は、日本に一時帰国した際に免許更新をしているので、現在の免許だけでは10年間以上日本で免許を保持していたことを証明できないのです。(長期間滞在者が免許を書き換えたい場合は、ドイツ滞在期間中、日本の免許をとぎれることなく保有していたことを証明する必要があります。)
ちゃんとした役所の人間ならここをツッコんできます。「免許証に載っていない期間を証明できる公的な書類を持ってこい」と・・・上の書類でサイキョーだと思っていた人間を絶望させるのには十分なキラーフレーズです。
そんな都合のいいもんがあるわけがねぇ・・・とその瞬間は狼狽したもんですが、あるんです!
それが
- 運転経歴証明書(英語版)
です。
こちらは日本の運転免許センターで取得可能です。日本にいる家族に頼んで、必要な期間を担当者の方に説明して作成してもらいましょう。しかも、有難いことに英語版を申請可能なので、ドイツ語に訳す必要はありません(少なくとも私の場合はありませんでした)。というか英語版を申請してください。日本語版は当然ながら通用しませんので。
また家族が代行して、運転経歴証明書を申請する際には、委任状が必要になります。
ということで、ドイツに長期滞在し、尚且つその間日本で新しい免許証に切り替わって、過去の免許証保持期間が最新の免許証には全て記載されていない場合は、運転経歴証明書(英語版)が必要になります。
ドイツ免許取得までかかった期間とその後
私はフランクフルトで免許の書き換え申請を行ったのですが、最初の申請から実際にドイツの免許を受け取るまでには大体1ヵ月くらいかかりました。時期も良かったのかもしれませんが、大きな街の割にはなかなか早いという印象でした。
不愛想で不親切な担当者でしたが、運転免許経歴証明書の提出はドイツ免許を取りに来る日に渡せばOKということにしてくれたおかげで、免許書き換え手続きがすぐに行われたため、想像していたよりも早くもらえました。
免許の受け取りは書き換えを申請した場所とは異なる場合があります。受け取りについてのメールが来た際は、場所をしっかりと確認しておきましょう。
多くの人間がそうであるように私は死にたくありません。
ドイツに来たのが2012年ですが、それ以降ほぼ車を運転してきませんでした。日本ではマニュアル免許を取得しましたが、免許取得後はオートマしか乗っておりません。
ドイツのオートマ車とマニュアル車の比率は、恐らく日本と真逆です。大体の人がマニュアル車に乗っているので、中古車を探せば、その多くはマニュアル車となります。
右車線、マニュアル、ペーパードライバー、この三重苦を冷静に鑑みて、私は教習所に行くことにしました。
もちろんドイツ免許はこの時すでに持っていたので、法律上私は教習所に通わず、すぐに車を運転しても問題なかったのですが、個人的に問題大アリと判断しました。対向車線に突っ込み、パニクってエンストして三途の川を見たとしても、高尚な法律が私を死の淵から救ってはくれるわけではありませんからね・・・。
ドイツのYouTubeでも運転ノウハウ系動画のコメント欄を見ると分かるのですが、日本同様「私の教習所の教官はこの動画の人みたいな優しい人ではなかった」「私の教官はロクに教えもしないで、非難ばかりするひどい奴だった」等、教習所の教官に対する怨嗟の声で溢れています。私が日本で教習所に通った時もそうでしたが、確実に人にものを教えるのに適した人間でない人が一定数いました。もちろん、そうではない素晴らしい人もいるのでしょうが。
しかし、昔とは違い、今はネットでその教習所の評価がある程度見られます。教習所を選ぶ際は、Googleマップなどでその教習所の立地を検索するついでに、星の数やレビューをしっかり確認しておきましょう。当然、ネットの評価が常に正しいわけではありませんが、低評価やネガティブな評価が多数ある場合は避けた方が賢明です。
- rechts – 右
- links – 左
- Vorfahrt – 優先(通行)権
- rechts vor links – 右側優先
- Schleifpunkt – (ざっくり言うと)半クラッチ
最初の2つは冗談じゃなくマジです。
10年以上運転したことない状態で、異国の地で、それも異なる交通ルールでいきなり公道を走ることになると単純な言葉でも、いや単純であるが故に、途端に分からなくなることがあります。実際に教習が始まる前に何度か心の中で呟いて確認しておきましょう。
Vorfahrtも車に乗らない人には、全く馴染みのない名詞です。読んで字の如く「Vor-先に Fahrt-走行」することを示しており、つまり「優先(通行)権」を意味します。どの車が先に行っていいかということですね。
ドイツでは、基本的にはrechts vor links、左より先に右、つまり右側優先というルールがあります。交差点などで車が複数台いるとき、一番右側の車が最初に行くという決まりです。言い換えると、自分の右側に車がいなければ行ってよしということになります。しかし、設置してある標識によっては直進が優先になることもあるので、その辺の細かい標識は以下のサイトなどで事前に確認しておきましょう。
Schleifpunktは日本の運転用語に置き換えると、いわゆる半クラを意味しています。
半クラッチは、クラッチが半分接続された状態を意味していますが、言葉だけでみるとあまり親切な表現とはいえません。なぜなら、この意味を真に理解するためにはクラッチの構造も頭に入っていないといけないからです(車好きの人が嬉々として説明したがるやつですね)。つまり、車の知識がほとんどない人が、この言葉だけで何が起こっているか、何をするのかを想像するのが困難なのです。
一方でSchleifpunktは動詞 schleifen (研磨する/磨く→擦れる)+名詞 Punkt (点/ポイント) から成る複合語です。よーするになんかが擦れているポイントを指しており、これはマニュアル車に一度でも乗ったことのある人なら、感覚的に理解できるので、半クラよりも初心者フレンドリーな感じがします。半クラの際には、独特の振動と音がありますからね。
めっっっっっっっっちゃ喋る人でした。
穏やかで人の良い11歳の息子さんがいる女性の教官でしたが、とんでもねぇマシンガントークで、私は教習中に「完璧にやり方を忘れたギアの切り替え」「右側通行意識」「教官の矢継ぎ早な質問を返答する」というマルチタスクを強いられ、私の脳みそはドイツの大学の卒論口頭試験以来フル稼働することとなりました。
「自転車のこぎ方のように、体に刻まれた記憶は消えない」なんてよく聞きますが、私のマニュアル車運転技術は1㎜ほども体に刻まれておらず、ない記憶を呼び起こそうとされた私の体は憤慨して、チワワのように震えておりました。よーするにブルっちまった。
さらに初回の教習で、教官はおもむろに息子さんと電話し始め、「あら、もう電車行っちゃうじゃない。迎えにいってあげるわ」と言っていました。
あれ、まだ教習中だけど?俺の知らないドイツジョークか?などと考えていたら、教官は私を誘導して、学童がたくさんいるバス停の近くへ。
10代と思われる少年が迷いなく我々の教習車に近づいて来るや否や、ドアを開け後部座席に鎮座。
私に放った言葉は「Hallo!」
私も彼に渾身の「Hallo! (;´∀`)」
教官「あと5分で電車行っちゃうから、駅まで運転して(‘ω’)b」
初回でとんでもないミッションを課されることに・・・。
結果、電車出発30秒前に何とか到着しましたが、あまり記憶がありません。電車まで爆走する教官の息子さんの後ろ姿だけが鮮明に思い出されます。ただ、その後は運転中、体の震えは止まっていました。ショック療法恐るべし。
最終的に3回だけ教習所に通い、その間教官との”愉快な”思い出はたくさんできましたが、長くなりすぎるので割愛。
私の場合は、免許を既に持っていたので、卒業試験などは受ける必要もなく(ただ初回から卒業試験コースを走らされていたらしい)、自分のタイミングで切り上げました。
短いながら色々ありましたが、交通ルールや運転感覚を覚えるには、教習所に通うのは本当に良い試みでした。
以上、ドイツ在住10年以上でも免許の書き換えができたという話でした。
必要書類をもう一度こちらに書いておきます。
- パスポート
- 滞在許可証
- 住民票(Meldebescheinigung)
- 顔写真(35 x 45 mm)
- 日本の運転免許証とそのコピー
- 日本の運転免許証の翻訳(これは日本領事館でやってもらうのが楽です)
- 手数料36.30€
+
- 運転経歴証明書(英語版)*ドイツに長期滞在していて、その間日本で免許更新等により新しい免許を取得している場合
以上となっています。特に日本に一時帰国した際に、免許を更新している場合は、運転経歴証明書(英語版)の提出が必須になることがあります。また、この運転経歴証明書は役所から送られてくるメールの必要書類には記載されていないので、あらかじめ用意しておくと非常にスムーズに事が運ぶはずです。
長期間車を運転してこなかった人は、免許書き換え完了後、または完了前にドイツの教習所に何度か足を運ぶことを強くおススメします。料金は各教習所で異なると思うので、通いたい教習所に事前に電話やメールでご確認ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。